ART WALKは、週末の2日間にかけて行われます。その人出と構成層の広さは驚きでした。
まず、週末をアートを見て過ごそうという一般人の多さは、マスコミに取り上げられた有名展覧会には列を成すも、無名作家の画廊展示は閑古鳥という日本との違いを実感。しかもBreweryに住むアーティストは現代美術系が多いのですが、家族連れやお年寄りがそれらを楽しんで眺めている。中には購入意欲を示す人も。風景か静物しか売れない、といわれる日本の絵画流通とは、明らかに違うものを感じます。
しかし反面、古典的手法やメディウムに対するリスペクトは、ヨーロッパと違って希薄なようです。“日本画材”を使用しているという特殊性、天然素材ならではの発色の翳りや微妙なマチエールに対する理解はあまり感じられません。ヨーロッパでは浮世絵や日本画のコレクターも多く、自らの歴史である西洋絵画との違いをエキゾチックに捉え、日本人以上に知識のある方もいますが、そこは“新しさ”がパワーのアメリカという国民性ゆえでしょうか。
しかしながら、やはり“表現する”“自分の好きなモノを選ぶ”ということに対する欲求レベルの高さと柔軟性は特筆すべきものです。
私たちの展示会場も大盛況でした。とにかくも、積極的に鑑賞者の側から話しかけてきます。ゲストブックに用意したF6サイズのスケッチブックにも自らアドレスを残す人が後を絶たず、こちらの用意した名刺200枚は初日でほぼ消費しました。
(詳細は参加者のひとり春眠氏のHPでも報告されていますのでお楽しみ下さい。)
http://www.artforlives.org/syunmin/
殆どの出展作家たちは、単なる展示というよりも、市場に対するプロモーションの機会として本気でアピールしています。実際、ShujiさんはじめBreweryの住人の多くが、L.Aでプロとして活動中。それ故に、作品も映画産業やテレビ、インターネットなどへの採用を意識したものも多く、“産業としてのアート”の裾野の広さを感じます。
また、一般客の多さを強みに商品を売るスタジオもあり、自作のスタンドに市販のキャンドルをつけて販売したり、ブティックのセール会場さながらに洋服を売るブースも。
“アート”と“商品”の境目の無さをここでも感じました。
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