今回、私たちの展示のためスタジオを提供して下さったのは、The Breweryに居を構える写真家のShuji Kobayashiさん。彼はハリウッドのセレブリティをはじめ、一流ファッション誌や音楽誌のカヴァー、またアーティストプロモーション写真やCDジャケット作品を数多く手がける日本人アーティストです。私とは彼の先輩でロスで活動するミュージシャンの友人を通して親しくさせていただいており、プロの仕事人としても、アーティストとしても尊敬している方です。
基本的に"ArtWalk"への参加は、敷地内の個人のスタジオを解放して行われるため、The Breweryに所属するアーティストとのコネクションがないと難しく、その意味でも彼の協力は私たちにとって、大きな力と励みになりました。ここであらためて心より感謝の意を表したいと思います。
Brewery構内は、メイン・ビルディング、ファクトリー、ガレージなどの建造物があり、その全てがART WALK会場となります。Shujiさんのスタジオはガレージ棟にあり天井の高いロフト式になっています。
海外でのexhibitionは、当然国内と勝手が違います。特に、米国ではテロ厳戒の下、金属類や工器具などの持ち込みは厳しく、作品展示に必要な資材殆どを現地調達することに。準備のため、私は他の参加アーティストより一足早くロス入りしました。難題は、まず設営。ギャラリーではなく、普段はShujiさんの撮影用スタジオになっているコンクリートのハコに絵を掛けるために、まず用意するべきは『壁』そのもの。
Shujiさんの紹介で設営をお願いしたセット・ビルダー伊佐さんは、舞台や撮影用セットを手がける職人さん。東京では、テレビ局のセット制作で多忙な日々を送っていたが、一念発起渡米。演劇学校に通いながら「演劇やるのに舞台が要るだろ。俺が舞台作ってやるから学費をディスカウントしろ」と交渉し、見事実現。また何のつてもなく舞台の制作現場に乗り込み「タダでいいから一日俺の仕事を見てくれ」と申し入れ、終わり際「おまえ、時給$10やるから明日も来い」と現場監督に言われてアメリカでのキャリアをスタートさせた武勇伝の持ち主。技術以上に人間に魅力のある方です。
『壁』の他にも、臼井氏の絵を貼るパネル&フレームなど木工一式を、材料費プラスlabor(労働料)をお約束してお願いしました。 |